通信困窮者支援事業を展開する「誰でもスマホリサーチセンター(本社:東京都豊島区、代表取締役:高橋翼)」は、過去に携帯電話の契約ができない状態を経験した方々を対象に、当時の状況に関する実態調査を実施しました。 生活のインフラとしてスマートフォンが欠かせない現代において、通信契約を失った人々が、行政機関の支援や就労の機会から遠ざけられている現状が明らかになりました。
本調査からは、個人の責任だけでは片付けられない、現代の社会システムに潜む構造的な課題が見えてきます。
生活困窮の危機に直面した際、行政の支援窓口は命綱とも言えるセーフティネットです。しかし、支援にたどり着く以前の段階で、「連絡先がない」という理由だけで足止めされるケースが存在します。
今回の調査では、「電話番号がないこと」を理由に相談や予約を断られた人が235人にのぼりました。窓口で支援や相談を進める過程では、後日のやり取りや状況確認のために連絡先の提示が求められることがあります。しかし、通信手段を失った人々にとって、その条件を満たすこと自体が難しい状況にあります。結果として、支援を求めて足を運んだ人々が「連絡先がない」という理由により、相談の入り口にすら立てないという事態が起きています。

生活基盤を自力で立て直すための就労支援の場においても、同様の事象が発生しています。携帯電話が契約できない期間のお仕事探しについて、「ハローワークなどの公的窓口に行った」と回答した人は125人存在しました。

また、「電話番号がない」「SMS認証ができない」という理由で、日雇いや単発バイトなどの応募・採用を断られた経験が「何度もあった」「数回あった」と答えた人は合計280名にのぼります。

このような状況が重なった結果、携帯電話がない期間に実際に採用してくれた仕事が「なかった」と回答した人は408名(全体の約7割)という結果になりました。

就労を希望して公的窓口に足を運んだり、日雇いの仕事に応募したりしても、企業との面接調整や合否の連絡を受ける手段がないため、労働市場から退出せざるを得ないという状況が起きています。
「仕事が見つからない」のではなく「連絡先がないから仕事に就けない」という現実は、個人の不利益にとどまらず、人手不足の社会における労働力の喪失や、生活困窮の長期化による公的支出の増加といった経済的な損失を引き起こしています。
就労も支援も阻まれていた人々が、通信手段を取り戻した直後にどのような行動をとったのか。そこから、公的な助けへの切実なニーズを示すデータが得られました。
自分名義のスマホを再び持つことができ、一番最初に電話やメールなどで連絡した相手を尋ねたところ、「友人・知人(247人)」「親・家族(183人)」に次いで、84人が「役所・支援窓口」と回答する結果となりました。

日常的なコミュニケーションよりも、まずは行政機関へ急いで連絡を入れる人々が一定数存在するという実態が見て取れます。アンケートの自由記述にも、「安否確認のため。携帯が無いと連絡手段すらない現状が悲しかった」「連絡がきちんと取れる事が心身ともに安堵しました」といった声が寄せられています。通信の確保が完了してはじめて、社会へのSOSを発信できるという実態が確認できます。
社会のデジタル化が進む中で、電話番号は単なる連絡手段を超え、公的支援を受けるため、あるいは就労するための「必須のインフラ」としての役割を担いつつあります。病気や失業などによって一時的に生活困窮に陥った人々が、セーフティネットや労働市場の入り口で「連絡先がない」という理由で弾かれてしまうのは、孤立の連鎖を招く看過できない構造的課題と言えます。誰もが明日直面するかもしれないこの見えない壁に対し、社会全体で認識を深める時期にきています。
困窮した方が助けを求める際、電話番号がないという理由で窓口から遠ざかってしまう現状があります。連絡がとれないことは、結果として自立に向けた支援の後退にも繋がっています。これらは構造的な問題のため、個人の努力や、窓口の担当者が同行・対応できる範疇を超えているのが実情です。私たちが提供する通信サービスが、こうした方々が再び社会と繋がり、必要な支援へとアクセスするための『最初の足場』になればと考えています。
■調査概要
調査期間:2026年2月25日~3月4日
調査方法:アンケート調査
有効回答数:604名
調査対象:一定期間携帯電話を持てなかった経験がある男女
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