相続した建物が未登記だと気付いたとき、普通の相続登記ができないと聞いて戸惑う方は少なくないと思います。
通常の相続登記は名義変更のイメージですが、登記記録そのものが存在しない未登記建物の場合、まず建物を登記簿に載せる手続きから始めなければなりません。
その手続きは2段階あり、建物の物理的な情報を記録する表題登記と、所有者を確定する所有権保存登記を順番に行います。
この記事では、なぜ通常の相続登記ができないのかという理由から、2段階の手続きの具体的な流れと必要書類、放置した場合のリスクまでを整理します。
目次

相続登記をしなければとは聞いていても、建物が未登記だと手続きの前提が異なります。まず未登記とはどういう状態かを理解することが、手続きの全体像をつかむ第一歩です。
通常の相続登記は、すでに存在する登記記録の名義を変更する手続きです。
不動産の権利に関する登記とは、所有権・抵当権・賃借権など不動産の権利の状況や変動を示すための登記であり、売買や相続による名義変更(所有権移転登記)はここに含まれます。
つまり、名義変更をするためには、変更先となる登記記録がすでに存在していることが前提になります。未登記建物はその登記記録自体がないため、名義を変えようにも変える先がありません。
まず登記簿に建物を載せてから、所有者を登録するという2段階の手続きが必要になる理由はここにあります。
登記には大きく分けて表示に関する登記と権利に関する登記があります。
不動産の表示に関する登記とは、土地の面積や地目、建物の構造や床面積など、不動産の物理的な状況を示すための登記です。
この表示に関する登記のうち、建物を新たに登記する際に行うものが表題登記です。表題登記がされていない建物を未登記建物と呼びます。
建物が存在していても、登記簿上は存在しない状態になっているわけです。1950〜1960年代の時代に建てられた建物のなかには、当時の事情から登記手続きが完了していないままになっているものが少なくありません。
相続した実家や古い離れなどが未登記だった、というケースは珍しくありません。未登記建物の手続きでは、土地家屋調査士や法務局への問い合わせが最初の一歩です。
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2段階の手続きそれぞれに、担当する専門家と必要な書類があります。誰に何を頼むのかを整理しておくことで、最初の相談がスムーズになります。
表題登記は、建物の所在・種類・構造・床面積といった物理的情報を登記簿に記録する手続きです。
未登記建物の表題登記など表示に関する登記の申請手続きを代理して行う専門家は、土地家屋調査士と定められています。
土地家屋調査士は、建物の現地調査と測量を行い、建物図面・各階平面図を作成して法務局へ申請します。
申請に必要な主な書類は以下のとおりです。
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票、建物の所有を証明する書類(固定資産税の納税通知書・固定資産評価証明書など)、建物図面・各階平面図、申請人の住民票などが一般的に求められます。
建物の所有を証明する書類が手元にない場合でも、固定資産税の課税通知書が手がかりになることがあります。
どのような書類が必要かわからないという段階でも、土地家屋調査士への相談から始めることで、必要なものが見えてきます。

表題登記が完了すると、次に所有権保存登記を行います。これは、表題登記で登記簿に記録された建物に対して、誰が所有者かを登記する手続きです。
所有権の移転や抵当権の設定など、不動産の権利に関する登記の申請手続きを代理して行う専門家は、司法書士です。
所有権保存登記は、表題登記の完了を経て初めて申請が可能となります。
。申請には、表題登記完了後の登記事項証明書のほか、申請人の住民票・印鑑証明書などが必要になります。
表題登記を土地家屋調査士に依頼した後、引き続き司法書士に所有権保存登記を依頼するという流れで進めると、書類のやり取りがスムーズになります。
相続による所有権保存登記では、誰が建物を相続するかを明らかにする書類が必要になります。
具体的には、遺産分割協議書と被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで一連のもの)が主な必要書類です。相続登記の申請には民法上の相続人や相続分を確定するために、すべての相続人を把握するための戸籍謄本などの収集が必要になります。
遺産分割協議書は、相続人全員が合意して署名・押印したものが必要です。相続人のうちひとりでも合意していない場合は、協議が整うまで作成には至りません。
誰が相続するか決まっていないという段階では、まず相続人の確認と話し合いを先に進める必要があります。相続人が複数いる、あるいは連絡が取りにくい相続人がいるという場合は、早めに司法書士へ相談しておくことをおすすめします。
2段階の手続きは複数の専門家と資料をやり取りするため、連絡を絶やさないことが大切です。書類の確認や訂正のたびに、電話やメールでのやり取りが発生します。
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手続きが面倒だから、しばらくそのままでよいと考えたくなる気持ちはわかりますが、放置することで具体的な不利益が生じます。
不動産の表示に関する登記は、原則として物理的状況が変わった日から1ヶ月以内に申請する必要があり、登記申請人には申請義務が課されています。
建物を新築したときから表題登記の申請義務が発生しており、これを怠った場合は10万円以下の過料の対象となり得ます(不動産登記法第164条)。
相続のタイミングで初めて未登記とわかったという場合でも、放置を続けることでこのリスクは残ります。
また、2024年4月から相続登記の義務化が始まっており、法務省の説明によれば、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
未登記建物については、まず表題登記を行ったうえで所有権保存登記を完了させることが、義務化への対応にもつながります。

未登記の状態が続く限り、売却や住宅ローンの担保設定といった手続きを進めるのは困難です。
法務省の相続登記義務化特設ページにも、相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には相続登記をする必要があるという記載があります。
今すぐ売るつもりはないから問題ないと思っていても、急に売却が必要になった場面で未登記のまま何年も経過していると、書類の収集や専門家との調整に想定以上の時間がかかります。
さらに、未登記のまま時間が経過すると、相続人が次の世代に代替わりして関係者が増え、遺産分割協議の取りまとめがより難しくなることもあります。
いつか動こうと先延ばしにするほど、手続きの手間と費用が膨らんでいくことが未登記建物の放置リスクの実態です。

放置した場合は、表題登記義務違反による過料のリスク、売却や担保設定ができないという制約、そして時間の経過とともに手続きが複雑化するという問題が生じます。
何から始めればよいかわからないという段階でも、まず土地家屋調査士か法務局の手続案内窓口に相談することで、具体的な次のステップが見えてきます。
法務局では、登記申請書の作成などに必要な情報の提供を行う登記手続案内を完全予約制で実施しており、電話・対面・Web会議のいずれかで相談できます。手続きを進めるなかで、専門家との連絡が長期間にわたって続きます。
通信環境を安定させておくことが、手続き全体をスムーズに進める土台になります。
誰でもスマホでは、WEB申込みの他に現在スマホをお持ちでない方でも申込みができるよう、FAXや郵送による本人確認にも対応している点も特徴です。
さらに、最短翌日(※平日15時までの申込み、初期費用入金完了で当日発送及び関東近郊へお届けの場合に限る。配送状況により、お届けが遅れる可能性あり。)にお届けができるため、急ぎで連絡手段を確保したい場合にも希望に添える可能性があります。
まずは自分に合った申込み方法を確認するところから始めてみましょう。
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