親族が亡くなり、自分を含む相続人全員が相続放棄を考えると、財産や借金の行き先がわからず不安になりやすいでしょう。
誰も相続しない家や土地が放置されるのではないかと心配する方もいます。
この記事では相続人がいない状態の考え方、相続財産清算人と国庫帰属の流れ、放棄後に残りうる保存義務を整理します。
自分の状況がどの段階にあるかを確認し、次の行動を考える材料にしてください。あわせて、手続き中の連絡手段を保つ視点も確認します。
目次

相続放棄で相続人がいない状態とは、特定の者だけが相続しないという意味ではありません。
民法上の順位にしたがって相続権が移り、最終的に相続する者がいない状態を指します。
自分だけが放棄した段階では、ただちに相続人不存在となるわけではありません。まずは、配偶者や血族の順位を分けて確認する必要があります。
戸籍をたどる作業も必要になるため、感覚だけで判断しないことが大切です。相続人の範囲を誤ると、次に連絡すべき親族や申述期限の見通しもずれます。
放棄の前後で、誰が次順位になるかを整理しておきましょう。
配偶者は、常に相続人になる立場です。子がいる場合は、配偶者と子が第1順位になります。子が全員相続放棄をすると、初めから相続人でなかった扱いです。
その結果、父母などの直系尊属へ相続権が移ります。父母などもいなければ、兄弟姉妹が相続人です。兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、おい・めいも確認対象になります。
借金が多い事案では、次順位の親族へ早めに事情を伝える配慮も必要です。連絡が遅れると、次の相続人が自分の期限を意識しにくくなる場合があります。
相続人不存在といえるのは、第三順位まで確認しても相続する者がいない場合です。
相続放棄は、自己のために相続が始まったことを知ったときから、原則3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述して行います。
親族の一部が口頭で放棄するといっただけでは足りません。誰が相続人に当たるかは、戸籍で確認します。
範囲が広がる場合もあるため、早い段階で専門家に相談すると整理しやすくなります。申述後は、受理されたかどうかも重要です。
債権者へ説明する場面では、相続放棄申述受理通知書や受理証明書が必要になる場合があります。

相続人がいなくても、財産がすぐ国のものになるわけではありません。家・土地・預貯金・借金などは相続財産として整理されます。
その中心になるのが、家庭裁判所に選任される相続財産清算人です。清算人が選ばれるまでは、財産の所在や管理状況が不明確なまま残ることがあります。
固定資産税の通知、管理会社からの連絡、金融機関からの照会などが届くこともあるでしょう。
放棄したから何も起きないと考えず、連絡や書類は保管しておくと後の説明に役立ちます。
相続財産清算人は、債権者や特別縁故者などが、家庭裁判所へ申し立てることで選任される場合があります。
申立先は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
全員が放棄しただけで、自動的に清算人が選ばれるとは限りません。空き家の管理や借金の請求が問題になるときは、申立ての必要性を検討します。
申立てでは、戸籍や財産資料、利害関係を示す資料などが求められることがあります。準備に時間がかかるため、問題が表面化してから慌てないことも大切です。
清算人は相続財産を調査し、必要に応じて換価処分を行ってから、債権者への弁済や特別縁故者への分与を進めます。弁済は相続財産の範囲で行うのが原則です。
これらの手続き後も残った財産は、最終的に国庫へ帰属します。国庫帰属までには段階があるため、放棄後すぐ終わるとは限りません。
預貯金だけなら整理しやすい場合がありますが、不動産や未払い債務があると期間が長くなることもあります。
近隣への影響がある空き家は、早めの対応を考える必要があるでしょう。

清算人選任では、申立費用のほかに予納金が必要になる場合があります。予納金は、清算人の報酬や財産管理に使われる費用です。
金額は財産の内容や裁判所の判断により変わります。数十万円から100万円程度が目安とされることもあります。費用が不安なときは、申立て前に見通しを確認しましょう。
相続財産のなかに換価できる預貯金や不動産があるかによって、負担の考え方も変わる場合があります。誰が申立人になるかも含め、関係者間で整理しておくと進めやすくなります。
手続きの費用負担や、当面の連絡手段を確保する方法について悩む方も少なくありません。
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故人の未納や家計の整理で不安がある場合でも、連絡手段を整える助けになる場合があります。費用や契約の不安も含めて整理し、相談してみるとよいでしょう。

相続放棄をすると、被相続人の借金や財産を引き継がない扱いです。ただし、放棄後も一定の保存義務が残る場合があります。
特に空き家や土地を実際に使っていた方は、すぐ無関係になるとは考えない方がよいでしょう。保存義務の有無は、相続責任とは別に整理します。
ここでいう保存は、財産を積極的に活用することではありません。価値を大きく損なわせないように、必要な範囲で状態を保つという意味合いです。
2023年施行の改正民法940条では、放棄時に現に占有する相続財産が問題になります。
その場合、相続人や相続財産清算人へ引き渡すまで、保存義務が残るとされています。例えば、亡くなった親名義の家に同居していた方が放棄する場面です。
一方、遠方に住み、その家を支配していない方まで同じ義務を負うとは限りません。占有の有無は、鍵の管理や建物への出入りなどから判断される場合があります。
庭木の越境や雨漏り、郵便物の滞留など、周囲から見える問題も生じ得ます。状況を記録しておくと、後で説明しやすくなるでしょう。

保存義務が問題になる場合、放置は避けたいところです。倒壊や雨漏り、近隣への被害が起きると、別の責任につながる可能性があります。
相続人がいないときは、相続財産清算人を選任してもらい、財産を引き渡すことで負担を整理できる場合があります。
とはいえ、申立てには費用や書類準備が必要です。債権者から連絡が来ている場合は、自己判断で処分せず、家庭裁判所や専門家へ相談しましょう。
財産を売却したり、預貯金を使ったりすると、放棄の効果に影響するおそれがあります。必要な支出か判断しにくいときも、事前の相談が望ましいでしょう。
相続手続きが長引くと、専門家への連絡や役所とのやり取りで携帯電話が欠かせません。
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相続放棄で相続人がいない場合は、まず本当に相続人不存在といえるかを確認します。
配偶者や子だけでなく、父母などの直系尊属・兄弟姉妹・おい・めいの有無まで見る必要があります。
相続放棄は家庭裁判所への申述で行うため、親族間の合意だけでは完了しません。各相続人の申述状況を確認し、必要に応じて受理書類も保管しておくとよいでしょう。
相続人がいない状態になった後も、財産がただちに国へ移るわけではありません。
必要に応じて相続財産清算人が選任され、債権者への弁済や特別縁故者への分与を経て、残った財産が国庫へ帰属します。
清算人選任には予納金が必要になる場合があります。費用の見通しも早めに確認しておくとよいでしょう。空き家や土地があるときは、時間の経過で管理負担が増える場合があります。
また、相続放棄後も、放棄時に現に占有していた財産については保存義務が残る場合があります。
家に住んでいた方や鍵を管理している方は、清算人へ引き渡すまでの対応について、慎重に検討することが必要です。相続放棄や清算人選任、空き家対応は互いに関係し合います。
家庭裁判所や弁護士、司法書士などの正規の窓口へ相談しながら進めましょう。
相続の整理と並行して、生活基盤である通信環境を整えておくことも大切です。
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今の状況を整理するために、無理のない範囲で相談してみてはいかがでしょうか。
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