借金の返済が続かなくなったとき、支払不能や支払停止という言葉を目にすることがあります。どちらも借金が支払えない状況を指すように聞こえますが、法律上の意味は異なります。
この記事では、破産手続との関係から支払不能の定義を整理し、支払停止との違いや、裁判所が支払不能を判断する基準についてわかりやすく解説します。支払不能・支払停止は法律用語であるため、実際に自分に当てはまるのかどうか判断しにくいと感じる方も少なくないと思います。この記事を読み終えた頃には、その判断の手がかりが見つかるはずです。
目次

自己破産の申立てをするには、一定の条件を満たす必要があります。その条件のひとつが支払不能の状態にあることです。
支払不能とは、破産法第2条第11項に定められた法律用語で、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態と定められています。
簡単にいうと、今ある財産や収入では、返済期日が来た借金を継続的に支払い続けられない状態のことを指します。
あくまでも、将来にわたって一般的・継続的に返済できない見込みがない状態が支払不能です。
破産法第15条第1項には、債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、申立てにより、決定で、破産手続を開始すると定められています。
つまり、支払不能であることが、裁判所が破産手続の開始を決定するための正式な要件となっています。
破産手続は、返済できなくなった債務者の財産を換価して債権者へ公平に分配し、最終的に残った債務を免除(免責)してもらうための手続きです。裁判所(東京地裁)の説明によれば、個人の自己破産申立てでは、通常、破産手続の開始と免責許可の申立てを併せて行います。ただし、免責を受けるためには、浪費や詐欺行為など法律に定める免責不許可事由がないことが必要です。
支払えなくなったから破産できるというわけではなく、法律の定める要件(支払不能)を満たしているかどうかを裁判所が判断します。
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支払停止は、支払不能とよく混同される言葉ですが、意味は異なります。
支払不能は、先述のとおり返済できない状態そのものを指す概念です。これは債務者の財産・収入・信用力などを総合的に見て判断される、内部的な経済状態です。
一方、支払停止とは、債務者が支払不能であることを外部に示す行為のことをいいます。例えば、債権者に対して返済できないことを伝えたり、弁護士に破産手続の依頼をしたりすることが支払停止にあたります。言葉や行動によって、支払えないという事実を外に向けて表明することです。
破産法第15条第2項には、債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定すると定められています。
つまり、支払停止があった場合には、裁判所はその債務者は支払不能の状態にあると推定します。支払不能は内部の経済状態であるため外部から証明することが難しく、そのため支払停止という外部から確認できる行為をもって支払不能を推定できる仕組みになっています。
まとめると、支払不能は状態、支払停止は行為であり、支払停止があれば支払不能が推定されるという関係にあります。

裁判所が支払不能かどうかを判断する際には、いくつかの要件を総合的に見ます。以下に、主な判断基準を整理します。
支払不能の第一の要件は、債務者が支払い能力を欠いていることです。
ここでいう支払い能力とは、手元の現金・預貯金・財産だけでなく、信用(借り入れによって資金を調達できる見込み)も含むとされています。そのため、手元にお金がなくても、借り入れや資産の売却によって返済資金を確保できる見込みがあれば、支払い能力があると判断される場合があります。
逆に、追加の借り入れもできず、売却できる財産もなく、収入だけでは返済が追いつかない状態であれば、支払い能力を欠いていると判断されやすくなります。

次の要件は、弁済期(返済期日)が到来した債務を返済できないことです。
まだ返済期日が来ていない将来の借金については、ここでの判断対象には含まれません。あくまでも、今すでに返済しなければならない状態になっている債務について、支払えるかどうかが問われます。
一般的に弁済できないとは、弁済期にある債務の全体を返済できない状態を意味します。
一部の借金は支払えても、すべては支払えないという状況であれば、この要件を満たす可能性があります。特定の債権者にだけ返済できる状態であっても、全体として返済できないのであれば一般的に弁済できないとみなされます。
継続的に弁済できないとは、一時的な資金不足ではなく、今後も継続して返済できない見込みであることを指します。
例えば、給与の振込前で一時的に手元の現金が少ない状態は、継続的な弁済不能にはあたりません。収入や財産の状況を踏まえて、将来にわたって返済を続けることが困難だと見込まれる場合に、この要件を満たすと判断されます。

先述のとおり、破産法第15条第2項により、支払停止があった場合には支払不能が推定されます。
支払不能は外部から直接証明しにくい内部状態であるため、債務者が返済できないと外部に示したという事実(支払停止)をもって、支払不能を推定する仕組みが設けられています。
この推定はあくまでも推定であり、反証があれば覆ることもありますが、実務上は支払停止があれば支払不能として扱われるケースがほとんどです。
支払不能かどうかの判断は、債務者本人の主観ではなく、客観的な財産・収入・信用力などの状況をもとに行われます。
自分では支払えないと思うという申告だけでは足りません。財産目録や収入の状況、借り入れの状況などを裁判所に示したうえで、客観的に支払不能と認められる必要があります。弁護士などの専門家に相談しながら、自分の状況を整理して申立てに臨むことが大切です。
生活が苦しい時期には、通信費の節約を考える方も少なくありません。しかし、法テラスへの相談予約や弁護士とのやり取りは、スマホなしではスムーズに進みません。
しかし近年は、スマホを利用したオンライン本人確認(eKYC)を採用している携帯会社が増えており、スマホを失っていたり契約できなかったりする状況では、手続きが進めにくくなるケースもあるでしょう。
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生活再建の第一歩として、まず通信環境を確保することを考えてみてください。

支払停止の状態に至ったということは、生活全体の収支が限界に達しているサインでもあります。破産手続を進めながら、家計の見直しにも着手することが、生活再建への第一歩になります。
まず取り組みたいのが固定費の整理です。家賃・光熱費・通信費・保険料など、毎月必ず発生する支出を一覧にして、削減できるものを見極めましょう。固定費は一度見直せば継続的な効果が出るため、優先的に手をつける価値があります。
食費や日用品などの変動費は、週単位や月単位で予算を決めておくと管理しやすくなります。いくら使ったかを把握するだけでも、無駄な出費に気付きやすくなります。
家計管理と並行して、行政や支援機関への相談も検討してください。生活保護の受給資格がある場合は、担当窓口に相談することで住居費や生活費の援助を受けられる可能性があります。また、法テラスでは経済的に苦しい状況にある方を対象に、無料の法律相談や弁護士・司法書士費用の立替制度を設けています。
支払停止に至った状況は非常に苦しいものですが、法律の手続きと生活の立て直しを同時に進めることで、出口を見つけることは可能です。一人で抱え込まず、弁護士や行政の窓口に相談することから始めてみてください。
固定費を見直す際は、通信費も確認しましょう。相談先への連絡に必要な通話やデータ通信を確保しながら、毎月無理なく支払えるプランを選ぶことが大切です。
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