主に家族の生計を支えてきた方が亡くなった場合に、遺族の生活を支えるのが遺族年金です。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、それぞれ受給要件が異なります。
また、遺族年金制度は、2028年に現行の制度からの大幅な変更が決まっています。
遺族の生活の維持に重要な役割をもつ遺族年金ですが、内容には細かい要件があるなど複雑な制度でもあり、わかりにくいと感じる方が少なくありません。
この記事では遺族年金の受給要件や制度改正による変更点を解説します。万一の場面に備えて、知識をつける参考になれば幸いです。
目次

遺族年金とは、公的年金の被保険者だった方が亡くなった際に、その方により生計を維持されていた遺族が受け取る年金です。
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、亡くなった方がどの年金に加入していたかによって支給される年金が異なります。
遺族基礎年金と遺族厚生年金それぞれの受給要件を、以下で詳しく解説します。
遺族基礎年金は、全国民共通の国民年金の被保険者であった方が亡くなった場合に、遺族に支給される年金です。
遺族基礎年金が支給されるケースは以下の4つです。
遺族基礎年金が受け取れるのは、亡くなった方によって生計を維持されていた、子のある配偶者か子ども本人のどちらかに限ります。
遺族基礎年金は、子どもが18歳になった年度の3月31日まで支給されます。

遺族厚生年金は、厚生年金に加入しているもしくは厚生年金に加入していた時期があり老齢厚生年金の受給資格がある方が亡くなった場合に、亡くなった方によって生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。
遺族厚生年金を受け取れる可能性のある遺族を優先順位の高い順から並べると以下のようになります。
遺族厚生年金を受け取れる方の範囲は遺族基礎年金より広く、子のない配偶者や父母、祖父母も含まれます。ただし遺族厚生年金を受け取れるのは、上記の方のうち優先順位一位の方のみです。
また、遺族厚生年金は受給者によって受給期間や受給年齢が異なります。
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遺族年金が支給される期間は、受給者の状況によって違います。受給者の年齢や子どもの有無などにより受給期間に差が生じるため、以下で詳しく解説します。
子どもがいる場合は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が支給されます。遺族基礎年金が支給されるのは子のある配偶者か子ども本人に限られ、支給期間は子どもが18歳になった年度の3月31日までです。
遺族厚生年金の支給期間は原則終身とされていますが、子どもがいない場合や配偶者の状況によって支給期間が異なります。
遺族が夫であるケースでは、夫が遺族厚生年金を受け取れるのは夫の年齢が55歳以上である場合のみです。夫の年齢が54歳以下である場合は、遺族厚生年金は子どもが受け取ります。
しかしこの夫に対する年齢要件は2028年から変更が予定されています。
子どもがいない場合には遺族基礎年金は支給されません。遺族厚生年金のみの支給となります。
子のない30歳未満の妻の受給期間は5年間に限られます。また、子のない配偶者が夫である場合は夫が55歳以上である場合に限り支給されますが、受給開始は基本的に60歳からです。
父母や祖父母も55歳以上である場合のみ遺族厚生年金の受給が可能であり、受給開始は60歳になってからとなります。
子ども自身が受給する場合は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が受け取れます。ただし子どもや孫への支給期間は、本人が18歳になった年度の3月31日までです。
例外として、子どもが1級か2級の障害等級にある場合は、20歳まで受け取れます。

65歳以降になると、自身の年金を受け取れるようになります(繰り上げ受給するケースもあります)。日本の年金制度には一人一年金の原則があるため、2007年までは65歳以上の方が遺族厚生年金を受け取る立場になった場合、どちらかを選んで受給していました。
しかし2004年の年金制度改正により2007年からこの制度が改まりました。
現在65歳以上の方が自身の厚生年金と遺族厚生年金の受給資格を得た場合、まず自身の老齢厚生年金を全額受け取ります。そのうえで、遺族厚生年金が自身の厚生年金の額を上回った場合に、その差額分をさらに受給できます。
遺族年金制度は、家計を維持してきた方の死亡により困難が予想される、遺族の生活をバックアップするための制度です。
経済的な問題を抱えた方を支援する制度はさまざまなものが用意されているので、困ったときには一人で悩まず、相談窓口を探すことから始めることをおすすめします。
65歳以降は制度の扱いが変わり、確認の連絡が増えます。
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これまで現行の遺族年金制度をみてきましたが、2025年6月の年金制度改正法成立により、2028年4月から遺族年金の支給内容が変更されることになりました。
この変更は、男性に関しては2028年4月から実施され、女性に関しては2028年4月から20年かけて段階的な移行となります。
どのような点が変わるのか、以下で解説します。
現行の遺族基礎年金では子のある配偶者が遺族基礎年金を支給されていた場合、その方が再婚すると遺族基礎年金の支給が完全にストップしていました。
しかし改正後は子のある配偶者が再婚した場合、遺族基礎年金の支給対象が配偶者から子どもに移ります。
また現行では男性は死別時に55歳以上でなければ遺族厚生年金を受け取れませんでした。この制限が撤廃されます。
さらに遺族厚生年金を受け取る方は年収850万円未満に限るとする所得制限もなくなります。
2028年の改正で大きく注目されるのが、これまで原則として終身だった遺族厚生年金の支給期間が、男女とも5年間になる点です。
しかし死別時に遺族が60歳以上だった場合は、現行どおり、支給期間は終身です。また支給期間の5年間が過ぎても、収入が不十分な方や障害のある方には継続給付がされます。
支給期間が5年間の有期となるのに伴い、支給金額には有期給付加算がされます。現在の支給額は死亡した夫または妻の厚生年金の3/4ですが、上乗せの金額は、死亡した夫または妻の厚生年金の1/4です。
また、遺族厚生年金への死亡分割の導入や遺族基礎年金における子の加算額の増加も行われるため、遺族年金として受け取れる金額は改正前より増加します。

生計を維持していた方が死亡した場合、遺族は経済的な困難に直面する可能性があります。その困難をカバーするのが遺族年金の制度です。
いざという場面で戸惑わないよう、遺族年金の受給期間や条件を把握しておき、万一に備えておくことが重要です。また、2028年から遺族年金の制度は大きく変わるため、変更点も正しく理解しておきましょう。
しかし年金制度には細かい要件があり、専門家でなければ理解が難しいものです。不明な点があるときは、年金事務所や年金相談センターなど、専門の機関に相談するのがよいでしょう。
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