相続はさまざまな書類や手続きが必要となり、対応が煩雑で難しいものです。ケースによりやるべきことや手順が異なるため、専門家でなければ戸惑う場面も少なくありません。
特に数次相続の場合は、判断や手続きが複雑になるものです。そのような数次相続の際の手続きや負担を軽減できる方法として、中間省略登記があります。
この記事では、中間省略登記の内容や手続きの流れ、また前提となる数次相続について詳しく解説します。
目次

相続では状況によって、処理が複雑になるケースが見られます。相続が二次、三次と続いていく数次相続もその一つです。
この数次相続の手続き方法の一つに、中間省略登記があります。中間省略登記は相続手続きを簡略化しますが、本来は認められない方法です。
しかし、一定の条件下では中間省略登記が可能です。以下で数次相続と中間省略登記について詳しく解説します。
相続の中間省略登記とは、数次相続において一次相続の被相続人から最終の相続人へ、中間の移転登記を省略して直接名義を変更することです。
中間省略登記を行えば、相続が一次、二次と重なった場合でも一度の手続きで名義変更を完了できます。これにより相続に関わる費用や時間の短縮が図れます。
本来、不動産登記法には登記の連続性という法則があり、中間省略登記は原則として認められません。しかし数次相続の場合は例外的に、中間省略登記ができる場合があります。

数次相続とは、遺産分割協議や相続登記が完了する前に、次の相続が発生することです。
例えば、Aさんが亡くなって相続手続きをしている途中で、Aさんの相続人である配偶者(Bさん)が亡くなってしまうケースです。この場合、Aさんの相続に二次相続が発生します。
二次相続の相続人となった場合、Bさんの相続人は、Bさんが持っていたAさんの相続人という立場も引き継ぎます。そのため、Aさんの遺産分割協議にも参加しなければなりません。
登記は法律行為の発生ごとに行う必要があるため、登記の中間省略は原則としてできません。しかし、数次相続においては例外的に可能とされています。
ただし数次相続の場合でも、中間省略登記ができるケースは以下の2つの条件下のみです。
裁判により中間省略登記が命じられた場合
数次相続において、中間の相続が単独相続だった場合
次の章では、2番目の条件についてさらに詳しく解説します。
相続人となったときなど、どうすればよいかわからず戸惑うシーンでは、専門家などの助言を求めることをおすすめします。一人で悩んでいても解決の道がなかなか見つからず、精神的に疲弊することが少なくありません。
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数次相続において中間省略登記が認められるのは、中間の相続が単独相続だった場合に限られます。
中間の相続が単独相続となるのは、中間の相続人がもともと一人だったケースと、協議で単独相続が決定したケースです。それぞれのケースを、例を挙げながら解説します。
AさんとBさんという子どものいない夫婦がいます。Bさんには親族はいませんが、Aさんには妹のCさんと弟のDさんが存命です。
この場合、Bさんが亡くなったときの相続人はAさん一人です。しかしその相続手続き中にAさんも亡くなってしまったとします。
するとAさんの相続人であるCさんとDさんは、Aさんの二次相続人になります。このケースでは、中間の相続人がはじめから一人であるため、中間省略登記が可能です。

次のケースは、中間相続人が複数いたものの、それを一人にする遺産分割協議書を作成できる場合です。
ほかに親族のいない夫婦AさんとBさんがいたとします。二人にはCさんとDさんという子がいます。
Aさんが亡くなり相続が始まりましたが、遺族は協議のうえ、不動産を母Bさんが単独で相続すると決めました。遺産分割協議書は未完成です。
このタイミングでBさんも亡くなってしまった場合、CさんとDさんはAさんの二次相続人となりますが、二人で相談して中間相続人をBさん一人とする遺産分割協議書を作成できます。
この場合も数次相続における中間省略登記が可能です。
数次相続において中間省略登記ができるかどうかは、細かい要件が絡むため自分では判断がつきにくいものです。そのような場合は、専門家の助言を得ることをおすすめします。
知識や知見を持つ専門家や相談窓口を訪ねれば、一人では考えつかなかったような解決策が見つかることも少なくありません。
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数次相続で中間省略登記を進めるためには、それぞれの相続に必要な書類を集めて、相続ごとに申請しなければなりません。以下で、二次相続を例に解説します。
まず、一次相続と二次相続それぞれの相続人を確定させます。これは、次のステップである遺産分割協議書の作成には、相続人全員の参加が必要であるためです。
二次相続の相続人は、相続を行うことで一次相続の相続人の立場も引き継ぐため、一次相続の遺産分割協議にも参加が必要です。
遺産分割協議を行い、不動産などを相続で取得する方を決定して、遺産分割協議書を作成します。この場合遺産分割協議書は、一次相続と二次相続それぞれ一通ずつの計二通が必要です。
一次相続の遺産分割協議書には、二次相続の情報を書き込まなければなりません。一次相続で相続人であり、二次相続では被相続人となる方は、相続人兼被相続人となります。二次相続の相続人は、相続人兼被相続人の相続人と記入します。
遺産分割協議書を作成したら、相続登記に必要なほかの書類とともに登記申請を行います。遺産分割協議書以外の必要書類は原則として以下のとおりです。
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの一式)
被相続人の住民票除票
相続人の戸籍謄本(全員分)
土地や不動産を相続する方の住民票
遺産分割協議書
遺産分割協議書に使用した印鑑の印鑑登録証明書
相続関係の一覧図
固定資産評価証明書
上記の必要書類とともに、相続登記申請書を作成し法務局に登記申請を行います。窓口での申請のほかに、郵送やオンラインでも申請を受け付けています。
申請後、登記完了にかかる期間は、申請に瑕疵がなければおおむね一週間ほどです。登記が完了すると、登記完了証と登記識別情報通知書が交付されます。

数次相続において中間省略登記を行うと、相続に関する手間や時間、費用などを圧縮できます。
しかし中間省略登記には複雑な手続きが必要です。また中間省略が可能かどうかは事案によって異なるため、専門家でなければ判断が難しいでしょう。
相続の中間省略登記を滞りなく行うためには、司法書士などの専門家にサポートを依頼するのが近道です。
難しい場面に直面した場合は、一人で悩まずに、相談できる窓口を訪ねることをおすすめします。自分一人で悩んでいたときには解決不能に思えても、相談すれば打開の道が拓けるケースが少なくありません。
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