生活保護受給中の方のなかには、体調が悪くても受診方法や負担費用がどの程度かわからず、病院に行くのをためらう方もいるでしょう。
生活保護は暮らしを支える制度である一方、仕組みが複雑で理解しにくい点が多く、このような不安が生じやすいのも事実です。
実際はいくつかのルールに従えば、生活保護を受けていても医療機関の受診や通院が可能です。
本記事では、生活保護受給者が病院やクリニックを受診する場合の流れや注意点を解説します。併せて受診時に必要な医療券についても説明します。
この記事を読んで生活保護の仕組みと医療との関係を理解し、安心感を持って医療機関を利用できるきっかけとなれば幸いです。
目次

生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するための公的制度です。生活扶助や住宅扶助をはじめ、8種類の扶助から成り立っています。
8つの扶助の一つに医療扶助があり、生活保護受給中の医療費は医療扶助が適用されるのが特徴です。
一方で、生活保護下では国民健康保険の被保険者資格を継続できない点に注意が必要です。以下で詳しく解説します。
国民健康保険の被保険者は、毎月保険料を支払う義務を負うのが特徴です。生活保護受給者は保険料の支払いが免除となるため、基本的に被保険者資格の継続ができなくなります。
生活保護開始と同時に国民健康保険の資格は喪失となり、福祉事務所を通じて市区町村の国民健康保険窓口に保険証が返納されるケースが一般的です。
生活保護廃止後は国民健康保険への再加入が可能ですが、生活保護から自動的に国民健康保険へ切り替わるのではなく、市区町村の窓口で所定の手続きが必要になります。
生活保護廃止後14日以内に再加入の手続きをすることで、廃止翌日から国民健康保険の資格を取得できる仕組みです。医療サービスを継続して利用するためには、早めに加入手続きを行うことが大切です。
生活保護では、医療扶助が病院やクリニックの通院費に充てられます。
医療扶助とは、国と自治体が医療費を負担する仕組みです。医療機関から自治体へ診療費が直接請求されるシステムのため、自己負担金は原則発生しません。
医療扶助が適用されるおもな範囲を以下に挙げます。
移送とは、病院を受診する際の交通手段を指します。つまり、通院時のバスやタクシー代などの交通費も医療扶助の対象となる点が特徴です。

生活保護受給者は、医療扶助を利用することで適切な医療を受ける機会と権利が守られています。ただし病院を受診する際には、いくつかのルールがあるのが特徴です。
安心感を持って医療機関を利用するには、受診の流れとルールを正しく理解することが重要です。
本章では生活保護受給中の病院受診の流れについて解説します。
病院を受診したい場合は、まずケースワーカーへの報告が必要です。
報告を受けたケースワーカーが受給者の状況や体調を見て、必要と判断した場合に医療機関の受診が可能となります。

生活保護受給者が病院やクリニックを受診する際に注意すべき点は、自治体から指定された医療機関のみ利用できるという点です。
指定外の病院やクリニックを利用する場合は医療扶助が適用されず、診察代や薬代が全額自己負担となるため注意しましょう。
指定医療機関を確認するには、ケースワーカーに問い合わせるか、自治体によってはホームページから確認できる場合もあります。
ケースワーカーへの問い合わせも、ホームページへのアクセスもスマホが手元にあればスムーズにできます。
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ケースワーカーから許可を得て指定医療機関を受診するのが一連の流れですが、押さえておきたいのが医療券の存在です。
医療券とは医療扶助の適用を証明するもので、会計時に提示を求められます。
医療券については次章で詳しく紹介します。

病院やクリニックに通う生活保護受給者にとって、医療券はなくてはならないものです。
医療券とはどのようなものか、利用時に注意すべき点は何か事前に理解しておけば、会計の際も慌てることなくスムーズな受診につながるでしょう。この章では、医療券の定義と利用時の注意点について説明します。
前述したように、医療券とは生活保護受給者が医療機関を利用する際に必要なものです。会計時に医療券を提示すれば、医療費は直接各自治体に請求されるため被保護者が窓口で支払う必要はありません。
医療券の申請先は各自治体の福祉事務所で、住民票や生活保護受給決定通知書などを提出して申請するのが通常です。医療券には有効期限があり、期限内なら継続して使用できます。
また、近年はマイナンバーカードに必要事項を登録すれば医療券の紐付けができ、マイナンバーカードの提示のみで医療券と同じように対応できる医療機関が増えています。
医療扶助制度をはじめ、マイナンバーカードを活用した医療サービスのオンライン化が進む今の社会では、スマホは欠かせない生活インフラの一つです。
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医療券を利用する際の注意点はいくつかあります。
医療券は申請してから受け取るまで数日から数週間かかることもあるため、受診の必要性が事前にわかっている場合は余裕を持って申請するのが賢明です。
急な体調悪化や事故など緊急性を要するケースでは、状態が落ち着き次第速やかにケースワーカーに状況を報告するようにしましょう。
また医療券を忘れて受診した場合、医療機関によっては全額自己負担となる点にも注意が必要です。紛失時も再発行の手続きが必要で、手続き中に受診すると全額負担の可能性があります。
福祉事務所に医療費を支払った旨を報告すれば、後日返還されるケースもあります。
さらに一つの医療機関につき、適用可能な医療券は1枚と定められているのも注意点です。ただし、同じ医療機関でも異なる診療科を受診する場合は、新たな医療券が必要になります。

生活保護受給者が安心感を持って医療サービスを利用するには、医療扶助制度の知識や受診方法の特徴を正しく理解することが重要です。
この記事を読んだだけではまだ不安が残るという方は、担当のケースワーカーに相談したり、知りたい情報をスマホを使って調べたりするのも有効な方法でしょう。
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