生活保護を受ける人は、基本的に預貯金を生活費に充てる必要があります。
とはいえ、生活が苦しい中でも将来のために少しでも貯金しておきたいと考えるのは自然な感情です。
生活保護を受けていても貯金はできる?
いくらまでなら貯金してもいいの?
と気になっている方も多いかもしれません。
本記事では、生活保護中の貯金について以下の点を解説します。
あわせて、生活保護中に貯金をする場合の注意点も解説していますので、参考にしてみてください。
目次
結論からお伝えすると、生活保護中でも貯金をすることは可能です。
また、生活保護受給者が貯金してもいい上限額も具体的には定められておらず、多くの場合ケースワーカーさんと相談のもと許可があるようです。
などの合理的な理由があれば、貯金が認められる場合があります。
とはいえ、生活保護は生活困窮者に最低限度の生活を補償するための制度なので、無条件でいくらでも貯金ができるわけではありません。
生活保護中に貯金をする際の注意点や、貯金が許されるケースなどを確認しておきましょう。
生活保護の申請の際には、預貯金や収入などの調査が行われますが、貯金があっても受給が認められる場合があります。
ここでは、貯金があっても生活保護受給が認められるケースと、申請時の貯金の上限額を解説します。
生活保護を受給するためのおもな条件は以下の通りです。
生活保護受給のおもな条件
生活保護は、収入が厚生労働大臣の定める「最低生活費」に満たない場合に受給できます。
収入が少なくても、親族の援助が受けられる場合や、年金などの給付が受けられる場合は、まずそちらを活用しなければなりません。
また、預貯金や資産・能力などあらゆるものを生活費のために利用する必要があります。
生活保護の申請時に貯金がある場合は、まず貯金を生活費に充てることが求められます。
とはいえ、貯金が少しでもあると生活保護の申請ができないというわけではありません。
貯金額が「最低生活費」に満たない場合や、貯金が今後の生活・自立のために必要といえる合理的な理由があれば、受給が認められる可能性があります。
最低生活費とは、年齢・世帯の人数・居住地域などに基づいて決定される、生活に最低限必要とみなされる費用のことです。
例えば、東京23区居住(1級地-1)の母子世帯であれば、月々の最低生活費は以下のようになります。
最低生活費の例(条件:20代の母親と0~5歳の子ども1人)
生活扶助基準第1類(逓減率0.8700) | 38,785円 |
生活扶助基準第2類(2人) | 38,060円 |
特例加算(1人あたり月額1,000円) + 生活扶助本体における経過的加算 |
2,000円+1,440円 |
加算額(母子世帯など) | 18,800円 |
住宅扶助基準(実際に支払っている家賃) | 最大53,700円 |
合計 | 最大152,785円 |
※令和7年4月の基準です。
※条件により、支給額は異なります。
このケースでは、貯金が約15万円未満であれば生活保護の受給が認められる可能性があると考えられます。
最低生活費の計算方法について詳しくは、厚生労働省公式サイトの生活保護制度のページをご覧ください。
\誰でも簡単に手続きができる/
生活保護中の貯金の上限は「いくらまで」と明確に定められておらず、自治体によって、またケースによって基準は異なります。
生活保護受給者の状況や貯金の目的によっても異なるため貯金を始める前にまずケースワーカーに相談してみましょう。
生活保護受給者は、年に1度「資産申告書」を提出する必要があります。
資産申告書の形式は自治体によって異なりますが、基本的に保有する現金、預金、動産、不動産などの資産すべての記入が必要です。
虚偽の申告は生活保護の打ち切りにつながるため、必ず正確な貯金額を申告しましょう。
また、貯金額を含めた世帯状況の把握や自立指導のため、ケースワーカーによる訪問・電話調査も年に数回行われます。
ケースワーカーから貯金額の申告が求められた場合も、正確に申告するようにしてください。
\審査不要で契約できる/
生活保護の受給中でも、以下のケースでは貯金が認められる可能性があります。
生活保護中の貯金が許される6つのケース
ただし、この6つに当てはまる場合でも、貯金を始める前に必ずケースワーカーに相談しましょう。
自己判断で貯金をすると、生活保護費の減額や一時停止・打ち切りにつながることがあるので注意してください。
生活保護の受給中でも、正当な理由があれば引っ越しすることができます。
「住宅扶助」として引っ越し費用を支給してもらうことも可能ですが、支給額には上限があるので注意が必要です。
違約金や引っ越し業者への支払いなどにより支払いが多くなると、支給額を超過してしまうことも考えられます。
引っ越しを考えているなら、ケースワーカーに相談のうえ、引っ越し費用をある程度貯金しておくといいかもしれません。
生活保護のおもな目的は、困窮者の自立を助長することです。
そのため、就職活動にかかる費用や、自立後の生活資金のための貯金であれば、認められる可能性があります。
就職活動には、交通費、スーツの購入、資格取得、就職に伴う引っ越しなどさまざまな費用がかかります。
就職が決まった後も、最初の給料が出るまでの間の生活費としてある程度の貯金が必要です。
自立を目指しているなら、生活保護費の一部を自立後の生活資金として貯金してもよいか、ケースワーカーに相談してみましょう。
\自分名義のスマホが持てる/
生活保護の開始時には、生活家電の購入費用として「家具什器費」が支給される場合があります。
しかし、生活保護受給中に、もともと所有していた家電が壊れたときは、生活扶助費の中から購入費用を支払わなければなりません。
そのため、エアコンや冷蔵庫など高額な家電の購入・買い替えに備えるための貯金は認められる可能性が高いでしょう。
生活保護費として支給される扶助の1つに「葬祭費用」がありますが、葬祭費用の対象となるのは、生活保護受給者が執り行う葬儀と、受給者自身の葬儀に限られます。
また、葬祭費用が適用される葬儀は、「直葬」「福祉葬」などと呼ばれる必要最小限の葬儀です。
生活保護受給者が他の人の葬儀や結婚式に参加する場合は、費用を自分で支払わなければなりません。
そのための貯金が認められるケースもあるようですが、必ずケースワーカーさんと相談してください。
葬儀の内容・種類を自由に決めたい場合、葬儀費用は自己負担となります。
子どもの教育費・進学費用のための貯金は、認められる可能性が高いと考えられます。
義務教育の小学校・中学校で必要な費用は「教育扶助」から全額支給されますが、高校進学にかかる費用は「生業扶助」からの支払いが必要です。
生業扶助の支給額には上限があるため、私立高校に進学する場合は不足分を自己負担しなければなりません。
「高等学校等就学支援金制度」も活用できますが、子どもに進学先を自由に選ばせてあげたい場合は、ケースワーカーに相談のうえ貯金をしておきましょう。
その他、生活保護費では全額まかなえない出費が必要になることも考えられます。
支給される生活保護費を全額使ってしまうより、万一に備えて少しずつ貯金しておく人の方が、ケースワーカーから見ても信頼できる受給者と言えるでしょう。
緊急出費への備えとして、毎月どのくらいまでなら貯金が認められるか、担当のケースワーカーに相談してみることをおすすめします。
繰り返しになりますが、基本的に生活保護受給者は預貯金を生活費に充てることが求められています。
生活保護受給中に貯金が発覚すると、生活保護費の減額や一時停止、打ち切りにつながることがあります。
ここでは、生活保護中に貯金をする場合の注意点を紹介します。
生活保護中に貯金をする場合は、必ず事前にケースワーカーに相談しましょう。
正当な目的のある貯金でも、無断でしていたことが分かるとケースワーカーとの信頼関係が崩れ、以後適切な支援が受けにくくなることがあります。
貯金をする場合は、目的を明確にしたうえでケースワーカーに相談しましょう。
目的があいまいな貯金は、生活保護の趣旨から外れると判断されて認められない場合もあります。
また、自治体は生活保護受給者の口座情報を閲覧する権利があるため、隠し口座に貯金をするのはおすすめできません。
隠し口座が発覚すると、虚偽の申告とみなされて生活保護の打ち切りや保護費の返還請求につながる場合があります。
同じように、タンス預金をする場合も、資産申告の際に必ず正確な貯金額を記入するようにしてください。
貯金の上限額が決められていない場合でも、数十万円以上など高額な貯金があると不正受給とみなされる場合があるので注意してください。
貯金の目的によってはまとまった額が必要になることもありますが、まずはケースワーカーに相談が必要です。
貯金の目的を伝えたうえで、どのくらいの額までなら貯金が許容されるかを確認しておきましょう。
生活保護中に貯金に関するよくある質問や、気になる点に回答します。
生活保護申請時に貯金があっても、受給が認められる場合があります。
収入・貯金が最低生活費未満であることや、ほかに頼れる親族がいないなどの条件に当てはまっていれば、申請が認められる可能性が高いと考えられます。
自治体によって対応が異なる場合もあるので、まずは現在お住まいの自治体の福祉事務所・社会福祉課などに相談してみましょう。
生活保護を受けている場合、世帯全員の収入が申告の対象となります。
高校生の子どもがアルバイトをして得た収入も、世帯全体の収入として認定されるため、その分生活保護費が減額される場合があります。
高校生がアルバイトをした場合、収入として認定されるのは収入から「基礎控除」と「未成年者控除」を引いた金額です。
とはいえ、アルバイトの目的が進学や自立のための準備と認定されれば、収入認定の対象から外れることもあります。
子どもがアルバイトを始める場合も、まずはケースワーカーに相談してみましょう。
事前にケースワーカーに相談しておけば、子どもの大学進学費用のために貯金することも問題ありません。
生活保護世帯の子どもが大学に進学する場合は、「世帯分離」という手続きが必要です。
世帯分離すると、子どもは生活保護の対象から外れるため、その分生活保護費が減額されます。
また、子どもはアルバイトをしたり奨学金を活用したりするなどして、自力で生活費と学費を用意する必要があります。
子どもを大学に進学させることを考えているなら、世帯分離に備えてある程度貯金しておくと良いかもしれません。
スマホは生活必需品とみなされるため、家電と同じように買い替えのための貯金は認められる可能性が高いでしょう。
ただし、10万円を超える端末など、高額なスマホの購入は認められない場合もあります。
自治体によって基準が異なることがあるため、まずはケースワーカーに相談してみてください。
生活保護の受給中でも、正当な目的がある場合はケースワーカーに相談のうえ貯金をすることができます。
また、ある程度貯金があっても生活保護の申請ができることがあるので、必要な場合はお住まいの自治体の福祉事務所に相談してみましょう。
隠し口座やタンス貯金など、隠れて貯金をすると保護費の減額や打ち切りにつながることがあるので注意してください。
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